(Twitter@YaUsGfcqxuo2ffx)です
今日は中学生の古文で出てくる扇の的(平家物語に)ついて学習していくよ
前回の平家物語?
そうそう今回はその平家物語の扇の的
頑張ります
中学国語扇の的平家物語訳
本文と訳
ころは二月十八日の酉の刻ばかりのことなるに、
↓現代語訳↓
訳→【時は二月十八日、午後六時頃のことだったけれど、】
をりふし北風激しくて、磯打つ波も高かりけり。
↓現代語訳↓
訳→【折からふく北風が激しく、岸を打つ波も高かった。】
舟は、揺り上げ揺りすゑ漂へば、
↓現代語訳↓
訳→【舟は、揺り上げら揺り落とされ上下に漂っているので】
扇もくしに定まらずひらめいたり。
↓現代語訳↓
訳→【竿の先の扇も、とまっていなくてひらひらしている】
*古文の「〜ず」は打ち消し否定を考えよう
沖には平家、舟を一面に並べて見物す。
↓現代語訳↓
訳→【沖には平家が舟を一面に並べて見物している。】
陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。
↓現代語訳↓
訳→【陸では源氏が馬のくつわを並べてこれを見ている】
*前の文と対句になっていることをチェック
いづれもいづれも晴れならずといふ事ぞなき。
↓現代語訳↓
訳→【どちらを見ても、とても晴れがましい光景である。】
*ややこしいけど晴れならず→打ち消しで晴れでない→晴れがましくない
といふことぞなき→と言うことではない
晴れがましくないと言うことはない→晴れがましい
与一目をふさいで、
↓現代語訳↓
訳→【与一は目を閉じて】
「南無八幡大菩薩、我が国の神明、日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、
↓現代語訳↓
訳→【南無八幡大菩薩、我が故郷の神々、日光の権現、宇都宮大明神、那須の湯泉大明神、】
願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ。
↓現代語訳↓
訳→【願はくは、あの扇の真ん中を射させてくださいませ。】
*この時の与一の気持ちを理解しておこう
これを射損ずるものならば、弓切り折り自害して、人に二度面を向かふべからず。
↓現代語訳↓
訳→【これを射損じれば、弓を折り、腹をかき切って、再び人に会うことはできません】
「ずる」→「ず」が活用した者もので「打ち消し」
最後の「ず」も「打ち消し」
いま一度本国へ迎へんとおぼしめさば、この矢はづさせたまふな。」
↓現代語訳↓
訳→【もう一度本国へ迎えようとお思いになるならば、この矢を外させないで下さい。】
*神様へのお願い事なので強い尊敬の意味
と心のうちに祈念して、目を見開いたれば、
↓現代語訳↓
訳→【と、心のなかで念じて、目を見開いたところ】
風も少し吹き弱り、扇も射よげにぞなつたりける。
↓現代語訳↓
訳→【(ありがたいことに)風も少しおさまり、扇も射やすくなっていた】
*与一の願いが神に届いたことを理解しておこう
与一、かぶらを取つてつがひ、よつぴいてひやうど放つ。
↓現代語訳↓
訳→【与一は、かぶら矢を取ってつがえ十分に引き絞ってひょうと放った。】
*「よっぴいて」→「よく引いて」→「十分に引く」のイメージ
小兵といふぢやう、十二束三伏、弓は強し、浦響くほど長鳴りして、
↓現代語訳↓
訳→【与一の体が小さいとはいうけれど、矢は十二束三伏で、弓は強く、かぶら矢は、浦一帯に鳴り響くほど】
あやまたず扇の要ぎは一寸ばかりおいて、ひいふつとぞ射切つたる。
↓現代語訳↓
訳→【ねらいたがわず扇の要から一寸ほど離れた所をヒューっと射切った。】
*「あやまたず」→「過ちを犯さない」→「扇を射ること」
かぶらは海へ入りければ、扇は空へぞ上がりける。
↓現代語訳↓
訳→【かぶら矢は海へ落ちて、扇は空へと舞い上がった。】
しばしは虚空にひらめきけるが、春風に一もみニもみもまれて、海へさつとぞ散つたりける。
↓現代語訳↓
訳→【しばしの間空に舞っていたが、春風に一もみ二もみもまれて、海へさっと散り落ちた。】
*しばしの間待っているのは射抜かれた「扇」
夕日のかかやいたるに、みな紅の扇の日出だしたるが
↓現代語訳↓
訳→【夕日が輝いているところに、真っ赤な日論の描いてある扇が、】
*古文中の「の」は「が」に置き換えて「主語」になることが多い
白波の上に漂ひ、浮きぬ沈みぬ揺られければ、
↓現代語訳↓
訳→【白波の上に漂って、浮いたり沈んだり揺られいて、】
沖には平家、ふなばたを叩いて感じたり。
↓現代語訳↓
訳→【沖には平家、ふなばたを叩いて感じたり。】
陸には源氏、えびらをたたいてどよめきけり。
↓現代語訳↓
訳→【陸では源氏が、えびらをたたいてどよめいていた。】
あまりのおもしろさに、感に堪へざるにやとおぼしくて、
↓現代語訳↓
訳→【あまりにおもしろくて、感に堪えなかったのであろうか、】
「堪ざる」の「ざる」は打ち消し→「耐えられなかった」
舟のうちより、年五十ばかりなる男の、黒革をどしの鎧着て、白柄の長刀持つたるが、
↓現代語訳↓
訳→【舟の中から、年の頃五十歳ばかり、黒革おどしの鎧を着、白柄の長刀を持った男が】
扇立てたりける所に立つて舞ひしめたり。
↓現代語訳↓
訳→【扇の立ててあったところに立って舞いを舞った。】
伊勢三郎義盛、与一が後ろへ歩ませ寄つて、
↓現代語訳↓
訳→【伊勢三郎義盛が、那須与一の後ろへ馬を歩ませて寄ってきて】
「御定ぞ、つかまつれ。」
↓現代語訳↓
訳→【ご命令であるぞ、射よ。】
と言ひければ、今度は中差取つてうちくはせ、よつぴいて、しや頸の骨をひやうふつと射て、
↓現代語訳↓
訳→【と言ったので、今度は与一は今度は中差を取ってしっかりと弓につがえ、よく引いて男の頸の骨をひょうっと射て】
舟底へ逆さまに射倒す。
↓現代語訳↓
訳→【舟底にさかさまに射倒した。】
平家の方には音もせず、源氏の方にはまたえびらをたたいてどよめきけり。
↓現代語訳↓
訳→【平家の方は静まりかえって音もしない。源氏の方は再びえびらをたたいてどっと歓声を上げた。】
*平家と源氏側の温度差を考えよう
「あ、射たり。」と言ふ人もあり、また、
↓現代語訳↓
訳→【ああ、よく射た。】という人もいればまた
「情けなし。」と言ふ者もあり。
↓現代語訳↓
訳→【なんと心ないことを。】という人もいた
中学国語扇の的平家物語対策練習問題1
次の歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直そう
- ゆりすゑ
- ただよへば
- いづれも
- いふ
- つがひ
- ねがはくは
- むかふ
- やはづさせたまふな
- をのこ
中学国語扇の的平家物語対策練習問題1解答
- ゆりすゑ→ゆりすえ
- ただよへば→ただよえば
- いづれも→いずれも
- いふ→いう
- つがひ→つがい
- ねがはくは→ねがわくは
- むかふ→むこう
- やはづさせたまふな→やはずさせたもうな
- をのこ→おのこ
中学国語扇の的平家物語テスト対策練習問題2
次の問題に答えよう
- 扇も射よげにぞなつたり【 】
【 】にはいる言葉を答えよう
けら けり ける けれ けろ
↓解答解説↓
答え→ける→係り結びの法則→「ぞ・なむ・やか」連体形(ウ)の音 - 「かぶらは海へ入りければ」の対になっている部分を答えよう
↓解答解説↓
答え→扇は空へぞ上がりける - 歩ませよっての主語を答えよう
↓解答解説↓
答え→伊勢三郎義守 - 酉の刻とは現在でいう何時に当たるか答えよう
↓解答解説↓
答え→午後6時(18時 午前か午後か必ず答えよう - 「沖には平家〜 陸には源氏〜」に使われている表現技法を答えよう
↓解答解説↓
答え→対句法 - 「いずれもいずれも晴れならずということぞなき」を現代語訳しよう
↓解答解説↓
答え→どちらをみても誠に晴れがましい情景である
*学校の約を優先しよう - 舞しめたりの主語を答えよう
↓解答解説↓
答え→年五十ばかりなる男 - 「扇もくしに定まらずひらめいたり」とあるがその理由を答えよう
↓解答解説↓
答え→北風が激しく吹いていて、磯を打つ波も高かったから - 扇の的を射当てなくてはならない与一の覚悟がわかる一文を、本文から抜き出そう
↓解答解説↓
答え→これを射損ずるものならば、弓切り折り自害して、人に二度面を向かふべからず。
*外したら自害しなければいけないので緊張感が伝わる場面 - 義経が命の危険があったのに弓を取りに行った理由を答えよう
↓解答解説↓
答え→こんなに弱い弓が源氏の大将義経の弓だと嘲笑されるのが悔しいから - 「北風激しくて、磯うつ波も高かりけり」の文を助詞を2つ入れて補いなさい
↓解答解説↓
答え→北風が激しくて、磯をうつ波も高かりけり - 「しばしは虚空にひらめきける」とは何のどんな様子を表したものか答えよう
↓解答解説↓
答え→扇が空を舞っている様子 - 「御定ぞ、つかまつれ」の内容を答えよう
↓解答解説↓
答え→船の上で待っている平家がわの武士を射抜くこと - 「年五十ばかりなる男」が敵であるのに舞った理由を答えよう
↓解答解説↓
答え→てきではあるが与一の弓の腕前に素直に感動したから - 「情けなし」と言った人の気持ちを答えよう
↓解答解説↓
答え→与一の弓の腕前を称賛していた人を殺してしまった行為を心なく残念に思う気持ち
中学国語扇の的平家物語テスト対策単語古語一覧
をりふし | ちょうどその時 |
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射よげに | 射るのに良さげ=射るのにちょうど良い |
よつぴいて | よくひく=十分に引いて |
あやまたず | 過つ+ず=過ちがない=失敗することなく |
つかまつる | してさしあげる |
おぼしくて | 思われる |
情けなし | 情けがない=薄情=心無い |
感に堪へざる | 感動に堪えることができない=感動して我慢できない |